フランク・パブロフ 「茶色の朝」

ある本を読んでいると,フランク・パブロフの書籍「茶色の朝」のことが紹介されていました。

「茶色の朝」という題名は,一体何を意味しているのか,分からず,興味を引いたことから,読むに至りました。14頁ぐらいの短い「寓話」で,平凡な日常生活を送る主人公が,もっともらしい理由を付けた法律により,じわじわと,自由が制限され,やがては,自らも摘発される立場になる,という悪夢のような話しです。

1990年代後半のフランスにて,極右政党が躍進する中,それに抗議する意図で出版されたものだそうです。約20年ぐらい前の社会情勢に警鐘を鳴らすため出版された本は,単に,遠い外国のことと片付けられない普遍性がありました。市民の自由,権利を制限する法律は,いつも,正当な目的を有しているかのような「顔」をしています。問題は,その目的を達成するために,必要な限度での制約なのか否か,やむを得ない限度の制約なのか否か,です。

日々の報道を見ていると,市民の権利を制限することになる法律の制定を巡って,その立法の必要性ばかりを強調した説明がなされています。その規制が必要な限度で留まり,市民の自由が不当に制限されることのないものとなっているかどうかの視点を欠くならば,明日は茶色の朝になっているでしょう。

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