新緑の西中国山地~三段峡

広島市の北西,安芸太田町に三段峡という渓谷がある。広島県の西の端,西中国山地に位置することから,岡山にいるとあまり馴染みがないが,大正14年に名勝に指定され,昭和28年に特別名勝に指定されるほど,渓流の流れや滝,そして緑(秋には紅葉)の織りなす景観の美しい場所である。

三段峡とは,柴木川(しわぎがわ)と横川川(よこごうがわ)が形成する渓谷をいい,いくつかの見所があるが,三段滝を見ないことには三段峡に来た気がしない。甥っ子二人と訪れる。

三段滝 堂々とした滝である。

三段峡は,渓流に沿って,探勝路という遊歩道があるが,急な斜面に遊歩道が「しがみつく」ように付けられているところが多い。そのため,道幅はかなり狭く,人とすれ違う際の譲り合いに気を遣う。このような山道を誰がいつ整備したのだろうかというところに思いが至るが,三段峡はもともとは,地元の人もほとんど立ち入れないような未開の渓谷だったそうで,大正時代に,渓谷の美しさに魅入られた熊南峰と斎藤露翠という二人の人が三段峡を世に知らしめようと熱心に活動し,その活動を支えた村の人達によって,探勝路が整備されたとのことである。その辺りのエピソードを知る手段に乏しいのが少し残念に思うが,戸河内町史資料編に,斎藤露翠の手記が収録されている(岡山からだと近くは福山市図書館で閲覧できる)。当時の人達の苦労に思いをはせながら,探勝路を歩くと,細い道も,また,味わい深いものになる。

餅ノ木の方から探勝路を進んだすぐのあたりにある石碑 大正14年に名勝に指定されたことが刻まれているが,「名勝」の上の「特別」の文字は,後年に刻まれたのかも知れない。

(この石碑を過ぎた辺りで,すぐに探勝路は土砂崩れにより,行き止まりになっており,残念ながら,平成29年5月現在,上流の餅ノ木側から,三段滝へはアクセスできない。)

道は通れなくとも,新緑は鮮やかである。

流れの側の岩には,苔から黄色い花のようなものが咲いているように見えた。

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